乳がんで痛みが症状になることは少なく、乳がんに特有な症状ではありません。

皮膚に異常がなければ乳腺症の可能性が高いです。ただし乳がんや良性腫瘍が偶然見つかることはあります。

乳腺組織が正常から逸脱した状態とも言われています。

30歳後半から50歳前後の女性の方で女性ホルモン分泌が不安定になることで起こるといわれ、痛みとしこりを感じることがあります。

カフェイン・脂肪制限などの食事療法や、漢方薬（桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、加味逍遥散、女神散など）投与を行うことがありますが、特に治療の必要はありません。ただし、乳腺症の診断は難しいことがあるので受診をおすすめします。

まずは受診をおすすめします。

しこりを触った感じのイメージですが、良性はビー玉のようにつるつるしていて悪性はくるみのようにざらざらしています。また乳腺組織がしこりのように感じることがあります。

まずは受診をおすすめします。

血性・赤褐色・橙色の赤みがかかった乳汁は乳管内にできた腫瘍が原因である場合があります。乳がんだけでなく良性の乳管内乳頭腫の可能性もあります。

熱を持って痛みが強いのであれば乳腺炎の可能性が高いです。

ばい菌が乳首から進入して炎症を起こします。時に膿をだす処置が必要になることがあります。

稀に炎症性乳がんという特殊な乳がんと見分けが難しい場合があります。

主体となるのはマンモグラフィと超音波検査（エコー）です。

マンモグラフィは石灰化病変の描出に優れ、乳房全体を客観的に診断することができます。

エコーはマンモグラフィに写らない乳腺組織に隠れた触れることができないくらい小さなしこりをみつけることができます。

良性の石灰化と悪性の石灰化に分かれます。

見分け方は難しく石灰化の形と分布の仕方で次のように５段階のカテゴリーで分けられます。

１．異常なし

２．良性

３．良性が考えられるが悪性を否定できない

４．悪性の疑い

５．悪性。

精度管理中央委員会が行う読影試験に合格した医者が読影することができます。

皮膚の発赤・びらん・皮膚陥凹・異常乳汁分泌といった異常所見が見つかる場合があります。

また自己検診については日頃から正常の自分の乳房の状態を把握しておくことで、異常があった場合に早期に気付ける場合があります。月経のある方は月経開始後5日目から1週間ごろが乳房のはりが少ないのでよいでしょう。

手術だけで根治することは難しいとされています。

乳がんは全身病と言われており、乳がんと診断された場合はすでに全身に微小な転移があるといわれています。

そのために非浸潤がんを除いて手術後に全身に対しての治療が必要です。顕微鏡でがんの性格を調べて、その人にあった抗がん剤、ホルモン剤を組み合わせて治療を行うことになります。また抗がん剤を手術前に行うこともあります。

乳がんの多くは乳管に発生したがんが乳管の壁を突き破り、乳管の外にある血管やリンパ管の流れにのって全身に広がっていくのが浸潤がんですが、逆に乳管内に留まっている早期のがんのことを非浸潤がんといいます。

マンモグラフィ検診の導入に伴い、非浸潤がんの割合が増えてきています。この段階で発見されれば非常に生存率が高くなります。

現在はがんの部分を部分的に切除する乳房温存手術の割合が、乳房を全部切除する手術より多くなっています。

手術方法によって生存率に差はありません。施設によって違いますが、５０％以上は温存手術を行っています。ただし、３センチ以上、広範囲に乳がんが広がっている場合、乳がんを２箇所以上認める場合、放射線治療ができない時は、温存手術は推奨できません。

また内視鏡を使った手術や切除後に乳房を再建する方法もありますが、施設によって可能な施設が異なります。

乳房温存手術を行った場合は放射線治療をすることで残った乳房に再発してくる確率を1/3程度まで下げることができ、再発率は５％以下になります。またリンパ節転移が4個以上あった場合や、がんが大きかった場合も対象になることもあります。